2025年、コロナ禍からの完全回復と観光の質の向上を目指し、大きな転換期を迎えた沖縄観光。観光客数が過去最高水準に達する一方で、深刻な人材不足や社会情勢による脆弱さなど、解決すべき課題も浮き彫りとなっています。
今回は、昨年6月に沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の会長に就任した浜田京介氏をゲストに迎え、嘉大雅アナウンサーがインタビュー。就任半年の実感を踏まえ、業界全体の一体感と首里城復興を見据えたこれからの展望を語ります。
沖縄観光を「憧れの産業」へ。 脆弱さを克服し、共に未来を拓く。

「華やかさ」と「脆弱さ」真っ只中に来て気づいた二面性
嘉 大雅(以下、嘉):浜田会長、あけましておめでとうございます。よろしくお願いいたします。
浜田 京介会長(以下、浜田会長): おめでとうございます。どうぞよろしくお願いします。新年早々、頑張りましょう。
嘉:中城村長を長く務められた浜田会長ですが、去年の6月に沖縄観光コンベンションビューローの新会長に就任されました。この半年間の感想や、改めて気づいたことはありますか?
浜田会長: そうですね、まだ半年ではありますけれども。やはり観光は非常に活気があって華やか、沖縄経済の根幹をなす「柱」の一つですから。そこの真っ只中に来て、素晴らしいなというのがまず一つの感想です。これからも間違いなく伸びゆく産業だと思っています。
ただ一方で、知らなかった「脆弱さ」というか。ポキンと折れちゃうような、いろんな情勢に弱いところがあって、それによって左右されたり、せっかくの伸びが落ち込んだりする。
そういう二面性を持った産業だなと。しかし、間違いなく沖縄を支えるリーディング産業であることは、もう間違いないと思っています。
完全に回復したとは言えない現状。だからこそ「心が一つ」に
嘉: 2025年はコロナ禍からの回復、そして質の向上への転換期でした。この1年をどうご覧になっていますか。
浜田会長: 相変わらずの好調さは維持されると思いますけれども、ただ私自身、この産業界に入ってわかったんですが、まだ「完全に回復はできていない」というのが現状なんです。今華やかに見えるこの業界の方々も、やはりコロナ禍の3〜4年間をまだ引きずっているところもありましてね。
もうちょっと時間はかかると思うんですが、ただ今、非常にそれを前向きに捉え、経験を踏まえて「沖縄の経済や観光をどうしていくか」という意味では、心が今一つになっているような感じはします。
沖縄の強みは「自然」。そして世界が認める価値
嘉: 観光客数も過去最高の1,088万人に達する見通しと、好調に見える2025年の沖縄観光ですが、ここまで選ばれている「強み」は何でしょうか。
浜田会長: これはもう皆さん自信を持って知っていることだと思いますが、やはり沖縄は何といっても「自然」ですよ。先日発表されたアメリカン・エキスプレス・トラベルでも、世界の「2026年訪れるべき旅行先」10選の中に沖縄が選ばれていました。イコール「自然」ということで、もちろん独特の文化も楽しめる。これは沖縄が誇るべき良いところじゃないかなと。
そこに魅了された方々がリピーターとしてまたやってきてくれる。それが数が落ちてこない大きな要因だと思います。また修学旅行についても、物価高騰で他にシフトせざるを得ない状況もありますが、大きな支えになっています。今後、インバウンドも含め欧米豪の方々も増えてくるでしょうし、世界の広がりがもっともっと開けてくるのではないかと期待しています。
民間交流で脆弱さを乗り越える。オーバーツーリズムへの備え
嘉: 一方で、交通渋滞や人材不足、また中国との関係による影響など、様々な課題に直面した1年でもありました。
浜田会長: 社会情勢に対しての脆弱さが多少現れてきた年末でしたね。ただ、私はいつも職員に話しているんですが、国と国のことは抜きにして、民間同士の交流はもっともっと深めていきましょうというメッセージをどんどん出していこうと。そうすることで、国家間の争いごとも抑えられてくるのかなと期待をしています。
あと交通渋滞やオーバーツーリズムの部分ですが、実際には他の観光地みたいに生活環境が脅かされるような状況にはまだなっていない。沖縄にはそれなりの「器の大きさ」がありますから。まだまだ数も量も質もアピールして、呼び込んで。そこから交通渋滞などの課題に対してしっかり対策の準備をしながら、やれる環境にあると思っています。
「ウチだけ儲かれば良い」ではダメになってしまう

嘉: 人材育成や確保については、今後どのような取り組みを進めていかれますか。
浜田会長:我々が目指すのは、観光業界が「憧れ」にならなくちゃいけないということです。ぶっちゃけた話、給料が高くないとか休みが取れないとか、そういうイメージばかりでは人は寄ってきません。それを我々の内部から改善して、「観光は本当に楽しくてやりがいがあるんだ」というのを伝えていきたい。
沖縄の観光産業は、横の繋がりがものすごく大きいんです。宿泊、レンタカー、バス、タクシー……すべて繋がっています。ですから、「わったーだけむーきりーしむん(自分たちだけ儲かればいい)」というようなことではもう沖縄観光はポシャってしまいます。みんなで儲かっていこう、盛り上げていこうという気がないといけない。それをビューローが中心となって、揺るぎないものを作っていきながらリーディングしていきたいなと思ってます。
リスペクトされる産業へ
嘉: 2026年は、首里城の復元や北部世界遺産5周年など、大きな動きがありますね。
浜田会長:キーワードはもう「首里城」ですよ。間違いなく観光客も増えるでしょう。ただそれだけにあぐらをかいて待ってるんではなくて、それをチャンスと捉えて、いかに観光客や県民の方々に還元していけるか。これがビューローの腕の見せ所です。
最後に理想を言えば、やはり観光は平和じゃないと成り立ちません。平和があってこそ自然を守り、次の世代にバトンタッチできる。そして本当に観光業界で働きたいと「リスペクト」されるように、しっかり前を向いて頑張っていきたいなと思います。
嘉: 浜田会長、本日はありがとうございました。
浜田会長:ありがとうございました。
