10月18日の沖縄BON!!:特集「魅力いっぱい 花ブロック」
沖縄の町を歩くと、建物の壁や窓に穴の開いたブロックが目につく。
お馴染みのこの光景は、「花ブロック」という沖縄発祥の建築資材。
沖縄と言えば、赤瓦屋根をイメージするが、今や殆どがコンクリート住宅。
花ブロックが誕生したのは戦後、米軍が基地の住宅等を建てるため
コンクリートブロック製造機を導入したのがきっかけ。
台風やシロアリに強い、材料の調達が簡単などの理由からコンクリート建築が一気に進んだ。
そんな中、文化財保護等に功労のある仲座久雄が、花ブロックを考案。
沖縄特有の強い日差しを適度に遮りながらも風通しもよくする。
台風の飛来物からも守ってくれる、防犯にも役立つなどの機能があり
沖縄では当たり前に使われる建築資材として広まった。
その花ブロックの殆どは西原町の山内コンクリートブロックが担っている。
約100種のデザインがあり、一つ一つ手作業で行われている。
3代目の安里享社長は「お客さんからのオリジナル注文に細やかに対応するため手作業にこだわっている、
多品種少量生産がモットー」と、花ブロックのデパートとしての誇りを持っている。
現在は種類豊富な花ブロックも沖縄が日本に復帰した1972年を境に
しばらく需要が落ち込んだ時期があったという。
県外から情報が入ってくる様になり
それまでの花ブロックが古いデザインと見られるようになった面もあるとか。
それが、花ブロックの性能を評価し直そうという建築家の動きで再び注目されるように。
建築家 伊良波朝義さんは、建築に積極的に花ブロックを取り入れ新しいデザイン開発にも取り組んでいる。
自身が設計した集合住宅は、グッドデザイン賞も受賞。
沖縄の織物、絣をイメージした花ブロックを考案し涼しげな雰囲気を醸し出している。
昼と夜の表情の変化も面白いという。
豊見城市で花ブロックの家に住む川平勝也さんは、
当初デザイン性で取り入れその快適さを実感している。
風通しもよく、夜、窓を開けっ放しでも、誰かが入ってくる心配がなく防犯面で役立っていると話す。
与那原町の高台に建つ聖クララ教会は、花ブロックが印象的な建物。
1958年、戦後の沖縄復興のために働くシスター養成が目的で建てられた。
設計は当時、米軍の基地建設に通訳等で関わっていた建築家で
アメリカ最大級の設計事務所も指導にあたったとか。
これを建てたのは教会信者で、約5年かけて完成させた。
花ブロックは壁面のほか、渡り廊下にも用いられている。
開放感があり風通しもいい。
聖クララ教会は、近代建築の調査保存のための国際組織 DOCOMOMO Japanから2003年、
国内を代表する近代建築の一つとして、「DOCOMOMO100選」に当時、沖縄で唯一選ばれている。
花ブロックによって沖縄の気候風土をうまく取り入れ
戦後の沖縄建築文化の原点ともいえる点が評価された。
ここで生活する中村睦子シスターは、「住めば住む程、
建物の価値や癒しの場というのが感じられる」と住み心地のよさを強調する。
そんな沖縄生まれの花ブロック、近年は県外からの引き合いも増えて来ているという。
まだデザイン性重視だが、結婚式場の祝いの演出に使われたり自転車置き場、お店等広がりを見せている。
光や風、視線をコントロールし、防犯にも役立つ花ブロック。
暮らしを快適にする機能とデザイン性の合わせ技で、
今後広く花ブロック文化を伝えたいと関係者はその可能性に期待する。
★山内コンクリートブロック
〒903-0103 沖縄県西原町字小那覇1184-1
【TEL】098-945-1542
★義空間設計工房
〒902-0072 沖縄県那覇市真地169-1Casa Villa 真地
【TEL】098-888-5303
★聖クララ教会
〒901-1303 沖縄県与那原町与那原3090番4号
【TEL】080-1798-1908
午前5時半〜午後9時まで見学可